ってことでコロナ禍の中、話題の映画「TENTE(テネット」)を、ユナイテッド・シネマ札幌のIMAXシアターで鑑賞してまりました!
思えば2019年12月末、スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明けを観に行った時、上映前にIMAXスクリーンだけに流れた衝撃的な映像。
コンサートが始まろうとする直前にホールに響く銃声、指揮者が凶弾に倒れホール内が制圧される中、集結する警察の特殊部隊、その特殊部隊に偽装する数名の集団。特殊部隊に紛れホールに潜入し、要人と思われる人物を救出、そしてスクリーンに映し出される「TENET」の文字。
こんな緊迫した数分の映像を、なんの予備知識もなく、高画質高音質で見せつけられたわけですよ。
興奮するよね
なんだったら、スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け本編よりも面白かった記憶が。
ネタバレというか、このTENETという映画そのものが一つの大きなネタのようなものなので、本当ならブログになんか書かないでみんなでワチャワチャ酒でも飲みながら盛り上がりたいのですが、なんせこんなご時世なので・・・
で、極力ネタバレには気をつけて書こうと思います。
映像革命
予告編を見ていると
こんな風に映像が逆回しになってるシーンがあったかと思います。なんでこうなっているかというと、映画見に行って下さいwww
説明できません!しちゃったら面白さが半減しちゃうから。
でも、映像革命っていう言葉が宣伝文句になったのって、やっぱりマトリックスかな。当時は何が革命的なのかもよくわからず、キアヌ・リーブスが半身仰け反って銃弾をかわすのが革命なのかと思っていたのですが、実はその後ろの背景がCGで描かれたということが革命だったらしく、それから20年以上が経ち、今では思いも寄らないシーンにCGが使用されていて、むしろCGだと気付かずに映像を見ている映画界に現れたのがクリストファー・ノーラン
映画界の風雲児「クリストファー・ノーラン」
一番最初にノーラン作品に触れたのが「メメント」
マトリックスの一作目の公開の翌年に公開されたこの作品は、時系列が逆向きとそのままのパートが交互に描かれるという難解な映画で、言ってみればTENETにも通ずる時間を操る映画の走りと言っても過言ではない作品でした。
そんなノーランが満を持して世に放つのがTENET
CG全盛の世の中で、CG嫌いで有名なクリストファー・ノーランは、今作もやってくれました!
詳しく言っちゃうと面白さが削がれてしまうんで言いませんが、たとえばダークナイトでは病院爆破、ダンケルクでは千数百人を数十万人に見えるよう、インターステラーでは宇宙船の外の景色はグリーンバックじゃない、など実写にこだわるノーラン監督。しかもデジタル撮影ではなくフィルム撮影にこだわり、IMAXというバカでかいフィルムで撮影するもんだから、生半可なCGだと嘘っぽく見えちゃうんで、極力CGには頼らない撮影にこだわるノーランが撮るTENETも、過去の作品に負けず劣らず、というか『えっ、それ実写なの!?』と思えるシーンが盛りだくさんでした。
だからこそ、今作「TENET」はここ数年の映画で唯一と言って過言ではない「映像革命」がなされたのではないでしょうか。
複雑なプロットに単純なストーリー
ストーリーを物凄く単純に説明すると
『世界を破滅から救う男の物語」
です。
ただそこに、時間の逆行という複雑な要素が入り込んできます。映像表現やプロットで時間の逆行が描かれていて、話の本筋に冒頭からちょっとずつ要素が組み込まれています。なので、一見すると意味のないようなシーンの一つですら、後半の伏線回収で重要な要素ですから、ワンシーンの見逃しも許されません。
とはいえ、そこまで難しい映画が私自身得意ではありません。
が、TENETは複雑な映画で考察をあれこれ述べたい人たちと、眼前に広がるスペクタクルショーを楽しみたい人両方を楽しませてくれるバランスの取れた映画だと思います。
IMAXならではの臨場感
音がでかい。
とにかく音がでかい。
実際の銃声よりも音がでかいんじゃないかと思うIMAX。
IMAXじゃないシアターでは鑑賞してないのでなんとも言えないんですが、TENETでは音楽がかなり効果的に使われていた気がします。悪く言えば音楽のボリュームがデカ過ぎ。銃声よりも音楽が大きいシーンがあったように思えました。
今回音楽を担当したのはバットマン・ビギンズから長らく音楽を担当してきたハンス・ジマーから離れてスウェーデン出身のLudwig Göransson(ルドウィグ・ゴランソン)、2019年2月に開催された『グラミー賞』の授賞式で、チャイルディッシュ・ガンビーノの“This Is America”が「年間最優秀レコード賞」と「年間最優秀楽曲賞」のほか全4冠を獲得し、その年の話題をかっさらいましたが、会場に来なかったチャイルディッシュ・ガンビーノの代わりに、スピーチを行ったのが、This is Aameracaの共同プロデューサーであるルドウィグ・ゴランソン。この他にも映画「ブラック・パンサー」のスコアも手掛けていて、2019年のグラミーでは一晩で3つのトロフィーが授与された史上初の作曲家となりました。
そんなゴランソンが手掛けるTENETの音楽。
映画を観ていなくてもハラハラ・ドキドキします。
とにかくこの音楽が映画を盛り上げていたことは間違いないのです。
しかもTENETのサントラ、実は逆再生バージョンもあります!
ゴランソンって天才ですか?
結局TENETって面白いの?
前作「ダンケルク」を観た感想を人に伝えるときに言っていた言葉が「これは映画じゃない」
つまり「ダンケルク」は映画的な面白さが一切なかったんです(個人的な意見ね)。
大好きなノーランが撮った映画だからこれは面白いんだと自分に言い聞かせて布教活動していたんですが、もっと面白い戦争映画はたくさんあるし、でも急に耳をつんざく銃声や徐々に近づく爆撃音など、緊迫感あふれる映像作品としては素晴らしかったんですが、映画として見ると。。。
で、今作TENETはどうかというと
面白い!
でも
わけわからん!
です笑
ボケーっと純粋に目の前で繰り広げられるストーリーのみを追っかけても十分楽しめる映画です。アクションシーンは盛りだくさん、カーチェイス、ファイトシーン、誰でもわかる伏線回収。
ただ、その要素必要だった?って思う部分も色々あったと思うんです。
なぜ主人公は名前がないのか
元フットボール選手で、俳優デンゼル・ワシントンの息子でもあるジョン・デイヴィッド・ワシントンが演ずる主人公は最後まで名前が明かされません。なぜなのか特に説明はありません。
それって誰が何の目的で?
説明があまりにも不親切です。悪いヤツがやろうとしていることはわかりました。でもなんで?その先は?って。名優ケネス・ブラナーが今作では悪役の位置なんですけど、物凄く極悪人って訳でもなさそうだし。007とか他の映画なんかだと、悪い奴ってのは世界を掌握したかったりすることが多いじゃないですか。でも今作の大義名分がイマイチ理解できなくてアベンジャーズのサノスのような、でもその後の落とし前としての動機も弱いし。
名優の無駄遣い
なんか薄っぺらくない?
メメントで前向性健忘の主人公が複雑な陰謀に挑み。インセプションでは異なる意識の階層を盛り込んだアクションサスペンス、インターステラーの根っこには親子愛というぶっとい芯ががありました。じゃあTENETって何があったのかと考えてもちょっと何も思い浮かばないんです。誰にも感情移入できずに2時間強の物語が進んでしまいます。複雑な思いになったり、応援したくなったり、心の起伏(観ている側の)が今作だと薄い気がするんです。
総括
面白いかどうかを決めるのは、実際に見たあなたです。
このブログ記事をたまたま目にし「なーんだ、結局つまらない映画なら見る価値ない」と劇場はおろか、配信ですら観ないなんてことになっては、映画産業そのものが立ち行かなくなってしまいかねません。
「面白くなかった」という感想も、お金を払って触れるエンターテインメントにとって、正しい感想だと思います。
ただ「面白くなかった」ではなく、どう面白くなかったか、までアウトプットできると立派な映画の感想になるんじゃないかと。
コロナ禍の中での映画鑑賞は、不安があったり、感染を広めてしまう可能性もありますが、正しい知識で、正しい対処で、これからも文化を続けていくためにも、エンターテインメントを楽しんでいければ最高ですね。
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