TVシリーズが開始して20年以上、見逃した数話を除き最初のシーズンから観てきたファンである私ですが、もちろん感染対策をしっかりして「劇場版 科捜研の女」を観てきました。
まず観終わって思ったのが「映画じゃねぇ・・・」でした。
あらすじ
京都、ロンドン、トロント…「助けて」と叫びながら高所から飛び降りたのは、全員が科学者だった。だが、犯罪につながる物的証拠はゼロ。各地で自殺として処理されようとしていたが、榊マリコ(沢口)をはじめとする科学捜査研究所のスペシャリストたちと捜査一課の土門刑事(内藤)、解剖医の風丘教授(若村)らは、半ば強引に捜査を進めていた。やがてマリコたちは、「未知の細菌」の発見で世界的に脚光を集める天才科学者・加賀野亘(佐々木)にたどりつく。だが、加賀野には鉄壁のアリバイが存在するのだった…。
ドラマのファンである前に映画ファン
確かに長年ドラマを見てきた人だからわかるキャストの豪華さはありましたよ?
マリコの父であり科捜研の元所長、現科学鑑定監察所の監察官伊知郎(小野武彦)が出てきたり、殉職した権藤刑事(高橋光臣)の後任として移動してきた木島刑事(崎本大海)や、もはや忘れかけていたマリコの元夫渡辺いっけい笑、佐久間誠 元京都府警刑事部長(田中健)は警察協力受難者協会評議員として7年ぶりに作品にカムバック、カナダの科学捜査センターに移った相馬くん(長田成哉)などなど、 なにせ20年以上も続く作品なので関係者がたくさん!
シーズン5からシーズン11に出演していた乾健児役泉政行さんと深浦加奈子さん、お二方とも好きな俳優さんでしたが、残念ながら死去しておられるためスクリーンへの登場は叶いませんでした。
で、じゃあ過去の登場人物がスクリーン狭しと登場すれば映画なのか?
そもそも、この劇場版の内容って、今まで年末年始に放送してた科捜研の女2時間特番とそう大差なくないですか?
ロンドン・トロントってもっともらしい海外持ち出してきてるけど、撮影は国内だったよね?
いや、別にそこはいいんですよ、別にね。
ただ、ドラマのフォーマットをそのまま映画にしたって、喜ぶのはドラマファンしかいないんじゃないの?
確かに、映画化にこぎつけるまで20年かかりましたよ、科捜研の女は。ちょっとヒットすればすぐ映画化する昨今のパヤパヤしたドラマとは違い、しっかり地に足がついたドラマであることは間違いないです。
ただ、お金を払って、大画面で2時間ドラマ級のスケールを見せられたから「ん?」って思っちゃってるんです。
ドラマにはドラマ、映画には映画の良さ
2007年にフジテレビ系で放送された福山雅治主演「ガリレオ」
この作品は月9で放送され視聴率も平均で20%を超えてました。
そして2008にガリレオは映画化され「容疑者Xの献身」として公開されました。
この作品は劇場版ガリレオではなく「容疑者Xの献身」、そう、ドラマ版の映画化でありながら、劇場版オリジナルの演出なんです。ドラマ版では福山雅治のガリレオのテーマが流れ、文字が浮かび上がり・・・なんて演出があったり、柴咲コウと福山雅治の凸凹コンビ感、そういうのが映画では排除され、銀残しをしたような画のトーン、映画の構図、1:2.35シネマスコープ、そして重厚な人間ドラマ。
クレヨンしんちゃんもそうですよね、テレビ版には無い感動を映画版では描くこともしばしば。
で、科捜研の女はどうか。
がっつりドラマ版の延長線上の作品でした。
ドラマより予算がついたのかドラマでは見ることのできない丁寧な画作りはありました。しかしドラマ版の監督でもある兼崎涼介がメガホンをとったためか、スクリーン向けではなくテレビ向けなんですね全てが。
犯人へのミスリードや、音楽の流れるタイミング、全部がドラマを踏襲というかそのまま。戸田菜穂が出演するシーンでの謎の90度回転カットも何故横向きに撮影したのかが全く理解できないし、音声も無駄に左右に振るからセリフに集中できない。
大半の科捜研ファンは満足するかもしれませんが、映画としてみると出来はチープでした。
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